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意匠図面


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意匠とは何か?という根源的な問いには、答えがあります。「美感を呼び起こすもの」が意匠です。
しかし、毎日の現場では、どちらかというと、形の特許、という感じのお仕事が多いです。模倣品
対策なのだと思いますが。稀に、これは実用新案ではないのか?と思うもの、も御依頼頂く事がござい

ました。おそらく、意匠の方が出願手数料が安い事と、実体審査があるから、なのかと思います。

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意匠図面3階層理論

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画像
これは私が勝手に考えたもので、たぶん誰も、どこにも書いていないものです。なので、大間違いかもしれません。
​でも、私
が繰り返し作図をする中で、芽生えた理論です。

少し図を使って説明します。









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1階層目には、6面図と斜視図が入ります。特許庁が「一組の図面」と呼ぶ物です。
2階層目には、断面図、端面図、通電状態図、変化した状態、蓋を開いた状態等、言わば図のタイトルに
「参考」の付かない図が入ります。
3階層目は、参考図の世界です。透明部分を示す図等は、結構重要な感じがしますが、薄墨を用いる等、

やや独特なので参考図なのでしょうね。使用状態を示す参考図は、参考図でも少し外側だと思います。

それでは、どの様な構造なのか、ご説明申し上げます。


1層目は「一組の図面」と呼ばれる物で、6面と斜視図の7図で1セットになります。他の図は存在しません。
組み物の場合は、複数の物品と、組んだ図それぞれで1層目です。


斜視図は必須ではありません。正投影の6面図が有れば1層目はクリアです。その6面図でも、同一若しくは
対称の関係にある図は省略「可能」です。


この「可能」というのが大変厄介です。必ず、ではありません。20歳を超えたら飲酒は可能ですが、必ず
飲まなければいけない、と言われたらびっくりしますよね。省かなくても良いのです。


例えば現在ですと、部分意匠では、権利範囲の見えない面は省いても良い事になっています。しかし、
後に中国出願する際に、まず部分意匠制度が無く、6面が足りない、という面倒が発生します。

どうするのでしょう・・。

また、アイソメトリック図法で描かれた斜視図が2図(6方向を全て表す)あれば、1階層目はOKになりました。

ただ、国内専門ルールなので、一応6面は描く事をお勧めします。

蓋を開けないと、権利範囲が見えない部分意匠等の特殊な場合、開いた状態で6面図(斜視図)を描きます。

1階層目で権利範囲無し、というのは危なすぎます。何の意匠か、わからないです。

2層目は、基本的に1層目のサポートです。断面図(端面図)で形状の理解を助け、通電状態、変化した状態

等、本物品の特徴を表しながら権利化の輪に入れる感じです。

2層目までは、1層目と整合性を合わせなければいけません。1意匠1物品の硬い枠に嵌めるので、他の

形状を想起させるような、不要な線、もしくは線の欠落が無い様、注意が必要です。

3層目の参考図は、言わばなんでもありです。自由です。目的は形状の理解、もしくは発明の理解を

助けるもの、なので、1~2層目をサポートするものです。

基本の1層目に対して、線の増減があっても審査対象外です。図は幾ら出してもOKですが、特許庁から

無意味だから加減して欲しい旨のコメントがありました。良くある例として、黄色い物を出願(1層目)して、
参考図(3層目)で赤色や、青色に変えた物を見受けるが、参考図は権利化に含まれない、という物です。

諦めて無色の形状だけで権利化しろと言う事ですかね・・。関連で出せという事かもしれませんが。

使用状態を示す参考図は、少し独特です。求められる内容が、本発明(本物品)の「使用方法」「使用目的」

「使用箇所」を詳らかにする事、なので、形状の理解を助ける物ではなく、かなり独特な立ち位置です。

基本的に1意匠1物品なので、使用時に関係する他物品が含まれるのはOKですが、無関係の他物品は

控えましょう。釣り竿の発明で、使用図を描く時に、リールとか、漁師さんはOKですが、漁師さんの靴下を
多数参考図に描いても発明と何の関係もなく、無意味で、無駄です。1意匠1物品の原則からも外れます。


部分意匠等で、形状に破線部が有った場合ですが、使用状態を示す参考図で、私は破線部を実線に変えて
います。使用方法が分かりやすくなるからです。どの様な使用図になるのか、それは物品次第ですが、
本物品をとても小さく描かねばならない時もあります。その様な場合、破線にこだわると、描けても本物品が

理解不能な何かになってしまいます。明らかに誤りです。図には目的があります。目的を果たしていません。
ちなみにUS・EU・ハーグでは、使用図において本物品以外は破線に変わります。これは国の指定なので

​逆らえません。

3層目の参考図は参考例の扱いなので、例えば参考斜視図、という図を描いたとしても、拒絶にはなりません。

ただし、1層目の斜視図の代わりにはならないのです。これが、決定的に判らない方が以前社内に居まして、
随分苦労しました。私よりベテランの方で、「ずっと参考斜視図で出願してきた、拒絶にはなった事が無い」と
胸を張って譲らないのですが、参考斜視図が拒絶になる訳がないのです。その代わり権利にもなりません。


ちなみに以前、使用状態を示す参考図から逆算して正面図の向きを決める、という方がいらっしゃいました。
いきなり電話口でその様な事を申されまして、「?」と悩んでいたら、「そんな事が判らないレベルなら、

​仕事は出せない」、と、いきなり電話を切られた事がありました。何だったのでしょうか。

使用状態を示す参考図では、斜視図を用いる事も多くございまして、必ず使用図が正面図ではありません。
豚さんの蚊取り線香筒を想像してみて下さい。使用図は後ろから、蚊取り線香と、線香立てを入れる図
(斜視図)になるかと思いますが、正面図の向きは豚さんの顔です。


正面図の向きは、基本的に人が向き合う面、及び方向、という理解でほぼOKです。

とはいえ、結構分かりにくい物品がある事も事実です。そのような時は公報で過去物を検索したり、
発明者に尋ねたりします。


駄文にしては長くなりました。一旦ここで一区切りとします。次回は透明体の表現等も御説明
申​
し上げたく思います。お目汚し大変失礼いたしました。有難うございました。


​